ちゆき
村上春樹さんが大好きです。
好きになった経緯についても語りたいところですが、長くなりそうなので今回は割愛。
村上さんというとやっぱり「ノルウェイの森」、「海辺のカフカ」、「1Q84」あたりが特に有名でしょうか。
村上さんの小説は好みが分かれるというか、苦手な方もいるみたいですね。
文体やストーリーなど独特なので、私自身は好きですが、そうでない方がいるのもわかります。
元から小説に限らずエンタメって人それぞれの相性があって、その違いがまた面白いし。
村上さんの小説は難解…と感じている方も多いですよね。
私も全然理解できてると思ってません。ただ好きだから読んでる。よくわからないところばかりだし、もちろんどの本も好みかというと必ずしもそうではないけど、村上さんが好きで読み続けています。
前置きが長くなったけど、この「村上さんのところ」は村上さんの小説が苦手な方にも読んでほしい本です。
簡単に説明すると、メールで募集した村上さんへの質問や相談、それに対する村上さんからのお返事を集めた本です。
(3万通以上のメールが届き、そのうち3716通へのお返事がホームページで公開され、書籍ではさらに絞り込まれた473通が載っています。すごい数)
メールの内容はもう本当にさまざまです。
村上さんの本のことはもちろん、翻訳家である村上さんへの英語学習についての相談、食べ物のこと、人間関係での悩み、日本社会への懸念…などなど。
ふざけたフランクなものもあれば、さぞ悩まれているんだろうと感じるものもあります。
質問している方たちの年齢や職業(小学生の女の子も)だってバラバラ。海外からのメールもあれば、村上春樹の小説とハルキストが嫌いという方からのメールまで。
私がこの本を好きなのは、村上さんの人となりをストレートに感じることができるからだと思います。小説よりずっとダイレクトに村上さんの考え方や物事への向き合い方がわかります。
前書きにあるご本人のことばでいうと「こんな面倒なこと」をやり抜くところ、すごいですよね?
3万通以上ものメールをすべて読んでいるんです。気が遠くなる…
送られてきたメールの内容によって村上さんの答え方も全然異なります。
ふざけている感じのお返事もあれば、徹頭徹尾まじめに答えているものもあります。
ここで短めのものをひとつ紹介します。
本をよく読む人と、本をほとんど読まない人がいますが、どちらの人生が幸せでしょうか?全般的に本を読まない人のほうが、楽天的で人生を楽しんでいるように感じますが、どう思われますか?
(40代の女性より)たとえ不幸になったって、人に嫌われたって、本を読まないよりは本を読む人生の方がずっと良いです。そんなの当たり前の話ではないですか。
パキッとした回答から村上さんの本への愛が伝わってきます。
私も本は読みますが、自分の内省的というか考えすぎな性格に拍車がかかったように思ってしまうことがあります。
でも本を読むことでもらった幸せがたくさんあります。これからも読んでいくし、子どもたちにも本が好きになってほしい。
(娘はすでに読書家と言えるかも)
ここで紹介したのはメールも回答もかなり短めなものにしましたが、他に読み応えのある長いものもあります。
興味のあるやりとりだけでもつまみ食いのように読んでみるのも楽しいかもしれません。
村上さんの親切心とユーモアと知性がたっぷり味わえます。
ちゆき