志ほん

『志ほん』とはやりたい店の名前です。

コーヒーやジュースが飲めて、ゆったり座れて、快適に読書と勉強ができる場所。

西志津に暮らしていたら志津図書館と多目的広場が大好きになり、このふたつを足して2で割ったようなお店を夫婦でやりたいと思うようになりました。どちらも町の人に愛されている憩いのスペースです。お店ではないけれど。

『志ほん』は好きな本を募集します。

「いい本だったよ」

そんな声とタイトルをたくさん集めたい。座右の書か。涙した物語か。腹がよじれたエッセイか。選んだ理由は何でもいいし、秘密でもいい。気の利いた推薦文はなくてもいいし、独断と偏見なんてとてもいい。

個人的に思い入れがある。その一点で、その一冊を店の本棚に置きたいと思う。理由はわからなくても誰かの想いが乗っている本を寄せ集めてみたい。ブックスペース志ほんは、気ままに散策する本の広場であり、みんなが好きに選んだ本が資本です。

夕方は学生が勉強しやすい場所に。

近所に西志津小学校と西志津中学校があります。使用している主要な教科書は取り揃え、参考書や図鑑や地球儀などの資料を置いて、自習生を歓迎します。依頼があれば「自学自習できる」をめざして指導します。

大人が好きに選んだ「いい本」に囲まれて、町の子どもたちが自由に勉強する学び舎に、憧れています。

ある作家が言ってました。

世の中には教科書なんかよりずっとエキサイティングで、深い内容を持つ本がいっぱいあります。そういう本のページを繰っていると、その内容が端から自分の血肉になっているという、ありありとした物理的な感触がありました。だから試験勉強をやろうというような気持ちになかなかなれなかった。

『職業としての小説家』村上春樹

大人の選書が味わい深いほど、試験勉強をやろうという気持ちになれなくなるかもしれない自習室。自由に魅惑する本棚に囲まれて、学業にいいのかどうかわからない感じもして、ちょっとおもしろい。

志ほんは、読書する人たちの読書体験でつくられていく。誰かが本を愛読する。そのひとつひとつをご縁にゆだねてお預かりすることが、志ほんの読書空間をおもしろく推し広げてくれると信じます。

夕飯どきには、勉学に励んだり読書を楽しんだ学生たちは帰っていく。夜は、大人たちがいろいろな文脈で集える憩いの場所に。

志津に『志ほん』という店を開きたい。

千明 公司